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〜 ゼロから始める!日本人のための環境用語集 The Carbon Institute by Vector Holdings 〜【No.15】Climate overshoot / 気候オーバーシュート

2024-02-29 05:58
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・Category

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・Keyword

vector , sdgs , climateaction , climatechange , ClimateOvershoot

・Summary

気候オーバーシュート(Climate overshoot)は、気候に関する指標がオーバーシュートしている状態を指します。パリ協定が「世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える」ことを目標に掲げていることから、一般的に「平均気温の1.5℃上昇」が指標として採用されています。
気候オーバーシュートは、温室効果ガスの排出量削減が不十分である場合に発生すると予想されており、この現象が一時的にでも起きると、気候系全体に影響を及ぼす可能性があります。今世紀の中頃に発生すると予想されていますが、現在の環境対策をより良いものにしない場合、さらに早まり、そして数十年以上続く可能性が高くなると科学的に予測されています。

このオーバーシュートが長期間続くほど、世界はより危険な状態になります。例えば、極端な気候変動、海面上昇や酸性化、生態系の崩壊など、私達の環境や社会に深刻な影響をもたらす可能性があります。その中でも、特に農業や水資源の安定性、生物多様性の保全など、人間の生存基盤に直接的な影響を及ぼすことが懸念されており、これらの回復は困難であると言われています。

気候オーバーシュートによって特に影響を受ける地域は、乾燥地帯や沿岸地域です。これらの地域では、海面上昇、極端な天候、水資源の枯渇などのリスクが高まります。乾燥地帯では既に水不足が問題となっており、さらなる気温上昇は農業や生活に深刻な影響を及ぼす可能性があります。一方で沿岸地域は、海面上昇による洪水や塩害の増加に直面しています。また、これらの気候変動が世界の公衆衛生を脅かし、人々が感染症、栄養失調、精神的ストレス、大気汚染にさらされる機会が増加すると言われています。

温室効果ガスの排出量削減は、気候オーバーシュートへの対策や実際に起きてしまった際の影響とその期間を最低限に抑える上で、極めて重要です。また、化石燃料への依存や先進国の持続不可能な行動や生活様式を改善することも対策として求められています。多くの科学者は、この10年間が今後の地球環境にとって、最も大切な時期であると警告しています。

これらの問題に対処するために、現在以下のような取組みが各地で検討されています。
1,温室効果ガス排出の削減
最も重要な取組みは、温室効果ガス排出量を迅速に削減して問題の悪化を防ぐことです。脱炭素化を加速させるには、これまでに行われてきたものよりもはるかに大胆で革新的な行動が必要です。これには、化石燃料の段階的な廃止や、世界の気候変動ガバナンスの再構築が含まれます。排出量をより速いペースで大幅に削減するために必要な知識と技術は既に存在しているため、より積極的な行動が求められます。
2,適応の強化
適応とは、気候変動の影響に対応し、被害を最低限に抑え、環境をより良いものにするための、手段や方法、行動などを指します。これは国際的な気候変動政策の1つとして長い間取組まれてきました。しかし、オーバーシュートの可能性が高まる中、適応を拡大し加速する方法を探求する必要があります。これには、気候変動への適応に必要なリソースや知識をどのように確保するかが課題となっています。また、適応の限界をさらに拡張するために、より良いガバナンスが求められます。
3,二酸化炭素の除去
二酸化炭素除去(CDR)は、大気中の過剰な二酸化炭素を捕獲し貯蔵する方法です。これには植林や直接空気捕獲など様々な方法が含まれています。各国政府の気候変動に関する政策に対し、科学的な基礎をあたえることを役割としているIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change・気候変動に関する政府間パネル)は、二酸化炭素除去がパリ協定の目標達成やネットゼロの実現には「避けられない」と述べています。しかし、二酸化炭素除去の規模拡大の可能性や永続性、排出削減報告の方法など、不確実性が残っています。
4,日射量の管理
太陽放射管理(SRM)は、地球温暖化の影響を軽減するために、太陽からの放射線を制御する技術です。太陽の光を反射させ、大気中の物質を散布することで、地球の気温を下げる効果があります。現在、成層圏(地球を取り巻いている大気層の1つ)で太陽光を反射して地表に降り注ぐ日射を削減することを狙う「成層圏エアロゾル注入」という方法がアメリカを中心に検討されています。しかし、不確実性やガバナンス、人間への健康被害などの課題を抱えているのが現状です。

気候オーバーシュートによる影響の低減やその持続期間を短縮するためには、政府や企業だけでなく、私たち個人も積極的に取組む責任があります。特に今後10年間の行動が気候変動の未来に大きく影響すると言われている最中、地球温暖化を食い止め、持続可能な未来を実現するための行動を今起こす必要があると考えられます。

・Table of Content

引用
経済産業省 自然エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ipcc.html
Paris Peace Forum
https://www.overshootcommission.org/_files/ugd/0c3b70_bab3b3c1cd394745b387a594c9a68e2b.pdf
https://www.overshootcommission.org/overshoot
University of California Press
https://online.ucpress.edu/elementa/article/10/1/00047/195026/Stratospheric-aerosol-injection-may-impact-global

vector energy
https://lnkd.in/gRADhhDH
ベクターエコサービス
https://vecos.vector.co.jp

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