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〜 ゼロから始める!日本人のための環境用語集 The Carbon Institute by Vector Holdings 〜 【No.13】Ammonia mixed combustion / アンモニア混焼

2024-02-15 06:55
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・Category

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・Keyword

vector , sdgs , climateaction , climatechange , Ammonia

・Summary

地球温暖化と気候変動は、現代社会が直面する最大の課題の一つです。化石燃料に依存する現在のエネルギーシステムは、大量の二酸化炭素(CO2)を排出し、この問題を悪化させています。こうした中、「アンモニア混焼」は、持続可能な社会への移行を促進する可能性を持つ革新的な技術の一つとして注目されています。

・アンモニア混焼とは
アンモニア混焼(Ammonia mixed combustion)とは、化石燃料(特に石炭や天然ガス)にアンモニアを混合して燃焼させる技術です。アンモニアは、窒素(N)と水素(H)から構成される無色のガスで、燃焼時にCO2を排出しません。この特性を利用することで、発電所のCO2排出量を削減することが可能です。
アンモニア混焼の最大のメリットは、CO2排出の削減です。石炭や天然ガスのような化石燃料は、燃焼時に大量のCO2を排出しますが、アンモニアを混合することで、これを大幅に削減することが可能です。また、アンモニア自体の生産過程で、再生可能エネルギーが利用されれば、さらに環境負荷を低減できます。

・日本におけるアンモニア混焼の目標
アンモニア混焼は、日本では2021年6月に具体化された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、同戦略の14の重要分野の1つに位置づけられました。アンモニア混焼の活用については、2030年までに石炭火力への20%アンモニア混焼の導入・普及を目標に、実機を活用した混焼・専焼の実証を推進し、年間300万トン(水素換算で約50万トン)の国内需要を図り、N㎥-H2当たり10円台後半での供給を目指すこととしています。また、2050年には、年間3,000万トン(水素換算で約500万トン)の国内需要を図り、製造の大規模化及び高効率化を追求した日本企業主導のサプライチェーンを構築することを目指しています。

・技術的な課題や供給問題
アンモニア混焼は、革新的な技術ではありますが、技術的な課題もあります。まず、アンモニアは燃焼時に窒素酸化物(NOx)を生成する可能性があり、大気汚染の原因となり得るためNOxの排出を抑制する技術が必要です。また、アンモニアは特有の臭いがあり、取扱いには注意が必要です。さらに、現在の発電所をアンモニア混焼に対応させるための改造には、追加コストが発生します。また、アンモニア混焼を広く普及させるためには、大量のアンモニアの安定供給が不可欠です。現在、アンモニアの多くは、化石燃料を原料として生産されていますが、これでは環境メリットが相殺されてしまいます。そのため、水電解による水素製造と、大気中の窒素を利用する環境に優しいアンモニアの生産方法の開発が進められています。

・経済性と市場展開
アンモニア混焼の経済性は、アンモニアの価格や発電所の改造コストに大きく依存します。アンモニアの価格が下がり、発電所の改造コストが最小限に抑えられれば、アンモニア混焼は経済的にも魅力的な選択肢となり得ます。さらに、政府の環境政策やCO2排出削減に対するインセンティブも、市場展開を促進する重要な要因です。
アンモニア混焼の導入拡大に向けては、その新たなサプライチェーン構築が不可欠です。そこで日本では、アンモニア混焼の需要・供給両面での国際連携を進めるために、以下のような取組みを進めています。
① アンモニア混焼の国際的認知度の向上のため、国際エネルギー機関(IEA)から分析レポート発行で連携
② アンモニア混焼の新たな供給確保のために、産ガス国や再エネ適地国(北米・中東・豪州等)とサプライチェーン構築に向けた連携
③ アンモニア混焼の海外での需要拡大のために、石炭火力利用国とアンモニア発電の可能性調査で連携
④ アンモニア混焼国際会議を主催することで、日本主導で国際連携のプラットフォームを設立し、アンモニア混焼サプライチェーンの構築を主導

2022年5月のG7気候・エネルギー・環境大臣会合の閣僚声明においては、アンモニアが火力発電の脱炭素化の有効な手段として、初めて位置づけられたほか、現在、世界では、インドやインドネシア、マレーシア等、アジアを中心に各国でアンモニア混焼に向けた事業性調査が実施されており、多くの国や企業おいて、アンモニア混焼の活用に向けた検討が活発化しています。

アンモニア混焼は、化石燃料に依存するエネルギーシステムから脱却し、よりクリーンな未来に向けた重要なステップです。技術的及び経済的な課題はありますが、環境への影響を最小限に抑えつつ、安定したエネルギー供給を実現するために、アンモニア混焼技術の研究開発と実用化への取り組みが重要です。これからの進展が、地球温暖化対策と持続可能な社会への道を切り開く鍵となることが期待されています。

・Table of Content

引用
資源エネルギー省
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2023/html/3-8-2.html
地球環境戦略研究機関
https://www.iges.or.jp/jp/publication_documents/pub/presentation/jp/12758/20230125+Japan%26%23039%3Bs+Coal-Ammonia+Co-firing+Policy.pdf
NEDO
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101502.html

vector energy
https://lnkd.in/gRADhhDH
ベクターエコサービス
https://vecos.vector.co.jp

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